通勤の途中に塾があって、残業の時間によっては子供たちの帰りにぶつかる事になる。
そこから一人で出てきた女の子(小学校高学年)が、横を向いて夜空を見上げながら、
「わぁ〜、きれい……」と、独り言にしては随分とはっきり言っているので、
何だろうとそちらを見たら、横たわるような形の三日月が、
ビルの谷間にかかっているのを見て思わず言ってしまったようでした。

「あぁ、本当だ。すごく綺麗だね」と、声に出して言いたかった。
でも、自分から見たその景色には、その女の子の嬉しそうな横顔と、紺色のコートと、
彼女の吐く白い息も入っての「綺麗」だったので、言わないで良かったとは思います。
あんなにきらきらした顔を見て、きれいだという言葉しか出ない自分が情けないので、
竹薮にこんなポエムを書いておきます。